エコキュートは、大容量のタンクに常にお湯(水)を貯めておく仕組み上、停電や断水といった災害時の「生活用水の確保」として非常に役立つ設備です。

ここでは、全メーカーに共通する基本の災害対応能力と、各メーカーが独自に力を入れている災害対応・レジリエンス機能を見出し形式で詳細にまとめました。

エコキュート共通の災害対応(全メーカー共通)

  • 断水時の生活用水の確保(非常用取水)

    断水時でも、タンク内に貯まっている水(お湯)をタンク下部の「非常用取水栓」から取り出し、トイレの流し水や手洗いなどの生活用水として利用できます。370Lのタンクであれば、4人家族の約3日分にあたる生活用水をまかなえます。※長期間滞留している水のため、原則として飲用は不可です。

  • 停電時の給湯

    断水しておらず「停電のみ」が発生した場合、タンク内にお湯が残っていればシャワーや蛇口からそのままお湯を出すことができます。ただし、リモコンによる温度調整機能が停止しているため、高温のお湯や水が出る場合があり、火傷には注意が必要です(※日立の一部機種など例外あり)。

メーカー別の災害対応と独自機能

1. パナソニック (Panasonic)

パナソニックは、気象予報と連動した事前の自動備え(沸き上げ)機能が充実しています。

  • エマージェンシー沸き上げ

    専用のスマホアプリとネットワーク接続しておくことで、台風や大雨などの気象警報(暴風、大雨、洪水など)を受信すると、自動的にタンクを満タンまで沸き上げます。災害による停電や断水が起きる前に、たっぷりのお湯を自動で確保できるのが最大の強みです。

  • 非常時も分かりやすい設計

    本体下部のラベルに「非常用取水栓の使用方法」が明記されており、取扱説明書を探さなくてもスムーズに水を取り出せる工夫がされています。

2. 三菱電機 (Mitsubishi Electric)

三菱電機は、事前準備のしやすさと、いざという時の「取水操作の簡単さ」にこだわっています。

  • パカっとハンドル(非常用取水栓)

    断水時にタンクから水を出す際、従来は工具がないとカバーを開けられない機種も多い中、三菱電機は工具不要で手で回せる「パカっとハンドル」を採用しています。バケツを置いてすぐに水を取り出せる、災害時にパニックにならないための親切な設計です。

  • お天気リンクEZ / 満タンわき増し

    停電や断水が予測される日には、リモコン操作で「満タンわき増し」を設定することで、設定が解除されるまでタンク全体を沸き上げし続けることができます。

  • 高い耐震設計

    重心を低くし、脚部を強固に固定することで耐震クラスS(満水質量の2倍の地震力に耐える基準)に対応するモデルを展開しており、地震による転倒リスクを軽減しています。

3. ダイキン (Daikin)

ダイキンは、高い耐震性とアプリ連動の事前沸き上げ機能を兼ね備えています。

  • 気象警報連動(スマホアプリ連携)

    パナソニック同様、専用アプリと連動して気象警報が発令されると自動で沸き上げ運転を行い、事前の備えを自動化しています。

  • 徹底した耐震強化

    大きな地震の際にも倒れにくいよう、足元の取り付け部をしっかり強化しています。さらに「別売りの補強プレート」を使用することで、より耐震性を高めることが可能です。

  • 非常用水の取り出しやすさ

    市販のホース(内径8mm)を非常用水取出口に直接差し込んでバケツに水を移せる設計になっており、周囲を水浸しにせずに安全に取水できます。

4. コロナ (CORONA)

コロナは「レジリエンス機能(防災対応)」を前面に押し出しており、停電時の使い勝手や耐震性に非常に優れています。

  • 業界トップクラスの耐震クラスS対応

    万が一の転倒防止策として、貯湯ユニットの脚の強度や設置方法に配慮した「3本脚」設計を採用。370Lモデルなどで耐震クラスSをクリアしています。

  • 停電時でも温度調整が維持される(SMAミキシング弁)

    停電時にお湯を出す際、最後に使用していた時の給湯温度で出湯される仕組み(SMAミキシング弁)を採用。他メーカーに比べ、停電時に突然熱湯が出るなどの温度トラブルを軽減する工夫がされています。

  • リチウム電池搭載で時計設定を保持

    長時間の停電時でも、内蔵のリチウム電池により時計機能が保持されるため、電気が復旧した後に面倒な「時刻の再設定」を行う必要がありません。

5. 日立 (HITACHI)

日立は独自のタンク構造による頑丈さと、給湯方式による「停電時の仕様の違い」に注意が必要です。

  • ウレタンクによる高耐震性

    ウレタン発泡の断熱材をタンクの隙間に充填した独自の「ウレタンク」構造を採用しており、断熱性だけでなく、タンク自体の剛性(頑丈さ)が向上。耐震クラスS対応の高い耐震性を誇ります。

  • 【注意点】水道直圧給湯タイプの停電時出湯

    日立の人気モデルである「水道直圧給湯(ナイアガラ出湯)」タイプは、停電時に蛇口を開けても水は出ますが「お湯」を出すことができません(熱交換器を介すシステムのため電気が不可欠なため)。※非常用取水栓からバケツなどでお湯を直接取り出すことは可能です。

災害時にエコキュートを使用する際の注意点

  • 火傷に厳重注意:停電・断水時に非常用取水栓からお湯を取り出す際、温度調節ができず最高90度の熱湯が出ることがあります。必ず耐熱性の容器(バケツや鍋など)を使用してください。

  • 飲用水としては使えないタンク内の水は滅菌状態ではないため、手洗いやトイレの流し水などの「生活雑用水」として使用してください(どうしても飲む場合は、必ず煮沸が必要です)。

  • 断水復旧後の泥水流入に注意:断水が解消された後は、水道管内の泥水がタンクに入って目詰まりするのを防ぐため、必ず給水側の蛇口(水)だけを開けて泥水を出し切ってから、エコキュートの止水栓を開けるようにしてください。