福岡をはじめとする九州エリアは、全国的に見てもエコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)やオール電化の普及率が非常に高い「エコキュート大国」です。現在の普及状況やこれまでの歴史、そして今後の市場動向について整理しました。

1. 九州・福岡における驚異的な普及率

九州エリアにおけるエコキュートおよびオール電化の普及率は、全国平均を大きく上回るペースで推移しています。

  • 新築戸建ての約70%がオール電化: 2020〜2024年度の平均において、九州で建てられた新築戸建て住宅の約7割がオール電化を採用しています。

  • 居住者比率も全国トップクラス: 全国のオール電化居住者比率が15.3%であるのに対し、九州(および北陸)は25%に達しており、中国・四国エリアに次ぐ高い水準を誇ります。

戸建て住宅が多いという地域特性に加え、都市ガスエリアが限られていること、そして何より地元電力会社(九州電力)の強力な普及活動が現在の圧倒的なシェアを形作りました。

2. 普及の経緯と歴史

2001年に世界で初めて日本で商品化されたエコキュートは、驚異的なスピードで普及してきました。九州では、地元ブランドの存在も普及を後押ししています。

年代 出来事・マイルストーン
1969年 九州電力とダイヘンの出資により、九州の電気温水器ブランド「ユノカ」が誕生。古くから九州の給湯電化の土壌を作る。
2001年 エコキュートが市場に登場。
2007年 累計出荷台数が100万台を突破。九州電力が「キレイ・ライフキャンペーン」など大規模なオール電化普及活動を展開し、一気に認知度が向上。
2016年 累計出荷台数が500万台を突破。
2025年3月 累計出荷台数が1,000万台という大台を突破。

3. 今後の市場展望と「これから」

今後のエコキュート市場は、新規設置だけでなく膨大な「買い替え(交換)需要」が市場を牽引していきます。

  1. 国家目標に向けた底堅い需要 政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の達成には、エコキュートの普及台数を現在の1,000万台から約3,650万台まで引き上げる必要があると試算されています。これを実現するためには、今後約25年間にわたり、現在の年間60〜70万台ペースを上回る「年間平均100万台以上」の導入が求められます。

  2. 補助金の継続的サポート 現在も「給湯省エネ事業」として7万円〜12万円という手厚い補助金が用意されており、高効率機種への入れ替えを国が強力に後押ししています。

  3. 「おひさまエコキュート」の台頭 太陽光発電の自家消費に特化した「おひさまエコキュート」への注目が集まっています。電気代高騰を背景に、通常の夜間沸き上げモデルから、昼間に沸き上げるモデルへの移行や相談が今後増えていくと予想されます。