
エコキュートの貯湯タンクの底には、水道水に含まれるミネラル分や微細な砂が少しずつ沈殿していきます。これを排出する作業が「水抜き」です。年1〜2回、10分ほどでできる作業ですが、やらずに放置すると配管の詰まりやお湯の濁りにつながります。本記事では水抜きの正しい手順、頻度、長期不在時や冬季の注意点、そして自分でやらないほうがよいケースを解説します。
目次
エコキュートの水抜きとは?やる理由と頻度
まずは水抜きの目的と、どのくらいの頻度で行うべきかを押さえましょう。
水抜きは貯湯タンク底の沈殿物を排出する作業
水道水には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分、微量の砂や鉄さびが含まれています。エコキュートは沸かしたお湯をタンクに貯めるため、これらの成分がタンク底部に少しずつ沈殿していきます。
水抜きとは、タンク下部の排水栓を開けて、この沈殿物を水と一緒に外へ流し出す作業です。タンクを空にして洗うのではなく、底に溜まったものを押し流すイメージとお考えください。
頻度は年1〜2回が目安
メーカーの取扱説明書では、おおむね年に1〜2回の実施が推奨されています。水質によっては沈殿物が溜まりやすい地域もあるため、お湯に白い粒が混じる、湯量が減った気がするといった変化があれば、頻度を上げても構いません。
作業時間は10〜15分程度です。春や秋など、気候が穏やかで屋外作業がしやすい時期を「毎年この時期」と決めておくと忘れにくくなります。
あわせて逃し弁の点検も行う
水抜きと同じタイミングで確認しておきたいのが逃し弁です。逃し弁は、沸き上げでタンク内の圧力が上がりすぎたときに圧力を逃がす安全部品で、こちらも年1〜2回の点検が推奨されています。
水抜きとセットで習慣にすれば、二度手間になりません。
水抜きをやらないとどうなるか
「面倒だから」と後回しにされがちな作業ですが、放置すると実害が出ます。ここでは実際に起こりうる3つの症状を挙げます。
お湯に濁りや異物が混じる
沈殿物が増えると、給湯時に白い粒や細かい異物が混じることがあります。浴槽にお湯を張ったときに底に粒が沈む、シャワーヘッドの目が詰まるといった形で気づくケースが多いです。
見た目の問題にとどまらず、次の詰まりの前段階でもあります。
配管やフィルターの詰まり
沈殿物が配管側へ流れ込むと、給湯配管や循環アダプターのフィルターが詰まります。湯はりの湯量が安定しない、追いだきの効率が落ちるといった不調につながります。
一度詰まると、水抜きだけでは解消しないこともあります。
効率低下と部品への負担
タンク底部に沈殿物が積もると、実質的に使えるお湯の量が減り、沸き上げの回数が増えて電気代に響きます。逃し弁の点検を怠った場合は、弁の固着によって安全機能が働かなくなるリスクもあります。
エコキュートの水抜き手順
機種によって部品の名称や配置が異なるため、必ずお手元の取扱説明書と照らし合わせながら進めてください。以下は一般的な手順です。
準備:必要なものと事前確認
用意するのは軍手だけで足りることがほとんどです。排水栓が固い場合に備えてモンキーレンチがあると安心です。
作業前に、貯湯ユニットの脚部カバーを外し、給水配管専用止水栓・逃し弁・排水栓の3つの位置を確認しておきましょう。
電源を切り、止水栓を閉じる
- リモコンの運転を停止し、沸き上げが動いていない状態にします
- 漏電遮断器(ブレーカー)を「切」にします。通電したまま排水すると空焚きの恐れがあるため、この工程は必ず実施してください
- 給水配管専用止水栓を閉じます。これで新しい水がタンクに入ってこなくなります
なお、タンク内のお湯は高温です。作業前にお湯を使い切っておくか、しばらく置いて温度が下がってから行うと安全です。
逃し弁を開け、排水栓から排出する
- 逃し弁のレバーを上げます。タンク内に空気が入るようにすることで、水がスムーズに流れ出ます
- 排水栓を開けます。ここから濁った水や沈殿物が出てきます
- そのまま2〜5分ほど排水を続けます。出てくる水が透明になったら十分です
排水はかなりの量と勢いになるため、周囲に物を置いていないか、水が流れる先に問題がないかを事前に確認してください。
元に戻して通電する
- 排水栓を閉じます
- 給水配管専用止水栓を開きます。タンクに水が入り始めます
- 逃し弁の排水口から水が出てきたら、タンクが満水になった合図です。逃し弁のレバーを下げて元に戻します
- 漏電遮断器を「入」にして通電し、リモコンで運転を再開します
順序を守るうえで最も重要なのは、必ず満水になってから通電するという点です。空の状態で通電すると空焚きになり、故障の原因になります。
長期不在時・冬季の水抜きの注意点
年1〜2回の定期的な水抜きとは別に、状況に応じた水抜きが必要になる場面があります。ここでは旅行や冬季の凍結対策について解説します。
1週間以上家を空けるとき
長期間使わない場合は、タンク内に水を残さないほうが衛生面でも安全面でも有利です。お湯を使い切ったうえで、上記の手順に沿って電源を切り、止水栓を閉じて排水しておきます。
帰宅後は、タンクに水を満たしてから通電するという順序を必ず守ってください。この順序を逆にすると故障につながります。
冬季の凍結対策
寒冷地や冷え込む夜間は、配管内の水が凍結して破損することがあります。エコキュート本体には凍結防止機能が備わっていますが、これは通電していることが前提です。
冬季に長期不在にする場合は、水抜きをして水を残さない状態にしておくのが確実です。逆に短期の外出であれば、電源を切らずに通電したままにしておくほうが凍結防止機能が働きます。
台風・地震のあと
災害後は、断水や濁り水が生じている場合があります。断水が復旧した直後は水道管内の錆や砂が流れやすいため、しばらく水を出してから通電・使用するのが安全です。
なお、断水時には貯湯タンク内の水を非常用取水栓から生活用水として取り出せます(飲用は不可)。この使い方も、いざというときのために手順を確認しておきましょう。
自分でやらないほうがよいケースと注意点
水抜きは基本的にご自身でできる作業ですが、無理をすると被害が大きくなるケースがあります。判断基準を明確にしておきましょう。
排水栓や逃し弁が固くて動かない
部品が固着している場合、力任せに回すと破損して水が止まらなくなります。この段階で無理をすると、応急処置が必要な事態になりかねません。
固くて動かないと感じたら、そこで作業を中断し、メーカーのサービス窓口へ相談してください。
水抜き後も水が滴り続ける
作業後、排水栓や逃し弁から水が止まらない場合は、パッキンや弁の劣化が疑われます。部品交換が必要な状態です。
また、脚部カバー内や本体の下部から継続的に水が滴っている場合は、貯湯タンクの缶体(タンクに内蔵された缶部分)からの水漏れの可能性があります。缶体からの水漏れは自分で対処できるものではなく、多くの場合は本体交換の判断になります。
高所・不安定な足場での作業
貯湯ユニットが台の上に設置されている、狭い通路にあるなど、作業姿勢が不安定な場合は無理をしないでください。屋外での転倒は思わぬ大けがにつながります。
作業に不安がある場合や、そもそも設置から10年以上経過していて交換を検討中の場合は、点検も兼ねて業者へ相談するのが現実的です。
エコキュートの水抜きに関するよくある質問
Q. 水抜きをすると水道代はどのくらいかかりますか?
排出するのはタンク内の水の一部で、時間にして2〜5分程度です。一般的な水道料金であれば数十円程度の負担にとどまります。年1〜2回の作業ですので、詰まりや効率低下を防ぐ効果を考えれば十分に見合う出費です。
Q. 水抜き中にタンクの水を全部抜く必要はありますか?
いいえ。目的はタンク底部に溜まった沈殿物を押し流すことなので、濁った水が出なくなるまで排水すれば十分です。完全に空にすると再び満水にするまで時間がかかり、その間お湯が使えません。長期不在などで意図的に空にする場合を除き、数分の排水で問題ありません。
Q. 水抜きをしたらお湯が出なくなりました。どうすればよいですか?
多くの場合、給水配管専用止水栓を開け忘れているか、逃し弁のレバーが上がったままになっています。まず止水栓が開いているか、逃し弁が元の位置に戻っているかを確認してください。それでも改善しない場合は、満水になる前に通電してしまった可能性があります。
Q. 水抜きと配管洗浄は同じものですか?
別の作業です。水抜きは貯湯タンク底部の沈殿物を排出する作業で、年1〜2回行います。配管洗浄は浴槽と機器をつなぐ追いだき配管の内側の皮脂汚れを落とす作業で、専用洗浄剤を使って3か月に1回程度行います。目的も場所も違うため、両方を習慣にしてください。
まとめ
エコキュートの水抜きは、貯湯タンク底部に溜まった沈殿物を排出する年1〜2回のメンテナンスです。手順は「運転停止→ブレーカー切→止水栓を閉じる→逃し弁を上げる→排水栓を開ける→透明になるまで排水→逆順で戻す」が基本で、最も重要なのは満水になってから通電するという順序です。長期不在時や冬季は水を残さない対応が有効ですが、短期の外出では通電したままにして凍結防止機能を働かせましょう。
部品が固着している、水が止まらない、缶体からの水漏れが疑われるといった場合は、無理をせず修理業者にご相談ください。設置から10年以上が経過している場合は、交換の検討時期でもあります。エコキュートの交換をご検討の方は、当店へお見積もり・お問い合わせください。


