エコキュート 騒音

エコキュートは深夜から早朝にかけて運転するため、音そのものは小さくても近隣に届きやすく、実際に苦情や問題が起きています。本記事では公的資料をもとに騒音問題の実態を紹介し、もしも苦情を受けてしまったときの対応手順を解説します。

エコキュートからする「異音」と「騒音」は別問題

対策を考える前に、ご自身の状況がどちらに当てはまるかを切り分けてください。ここを混同すると、必要のない修理を検討したり、逆に故障を見逃したりします。

異音=機器の不具合サイン

「今まで聞こえなかった音が急に出るようになった」「金属がこすれる音がする」「以前より明らかに大きくなった」これらは機器側の不具合を示すサインです。ファンやコンプレッサーの劣化、配管の接触、部品の緩みなどが疑われます。

騒音=正常な運転音が近隣に届く問題

一方、機器は正常に動いているのに「隣家から音がうるさいと言われた」「夜になると気になる」という場合は、故障ではなく設置環境と音の伝わり方の問題です。修理では解決しません。

必要なのは、設置場所の見直し、防振、遮音といった環境側の対策です。

エコキュートの運転音と低周波音の実態

なぜエコキュートの音が問題になりやすいのか。音の発生源と時間帯、そして周波数の特性という3つの角度から見ていきます。

音の発生源はヒートポンプユニット

エコキュートはお湯を作るヒートポンプユニットと、お湯を貯める貯湯ユニットで構成されます。日本冷凍空調工業会の資料でも示されているとおり、運転音は主にヒートポンプユニットの圧縮機(コンプレッサー)と送風機(ファン)から発生します。

貯湯ユニット側はほとんど音を出しません。したがって対策の対象は、基本的にヒートポンプユニットに絞られます。

深夜運転だから目立つ

エコキュートは割安な深夜電力を使って運転するため、周囲が最も静かな時間帯に動きます。日中であれば環境音に紛れる大きさの音でも、深夜には相対的に大きく感じられます。

日本冷凍空調工業会も、ヒートポンプ給湯機は主に人が睡眠している深夜に運転するため運転音による不眠等が一部報告されているとして、寝室や隣家に近い場所など騒音が気になる場所には据え付けないよう注意を促しています。

参考:一般社団法人 日本冷凍空調工業会「家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブックについて」

苦情の多くは20〜100Hzの低い音

低周波音とは、一般に100Hz以下の低い音を指します。総務省の公害等調整委員会がまとめた資料によれば、近年の低周波音の苦情発生源の多くは近隣の空調室外機、冷凍機、ボイラー、ヒートポンプ給湯機などの固定発生源であり、苦情が発生している場所の室内で観測される低周波音は20Hz〜100Hz程度の周波数域に主要成分を持つものが多いとされています。

この帯域の音は壁や窓を透過しやすく、距離による減衰も小さいため、「窓を閉めても聞こえる」「特定の部屋だけで気になる」といった訴えにつながりやすい性質があります。

参考:公害等調整委員会事務局「低周波音に関わる苦情への対応」(総務省)

実際に起きている近隣トラブル

苦情に至るケースには共通するパターンがあります。設置を検討中の方も、現在お困りの方も、自宅の状況と照らし合わせてみてください。

隣家の寝室の窓に向けて設置している

最も多いのがこのパターンです。敷地の都合でヒートポンプユニットを隣地境界に寄せて設置し、その先が隣家の寝室だったというケースです。

住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)でも、業界団体の据付ガイドブックでは、施主や隣接する家の寝室の傍に設置することを避け、近辺に窓や床下通気口など音の侵入口があれば極力距離を置いて設置することが推奨されていると紹介されています。

参考:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 事例4

壁や塀に囲まれた場所に設置している

音は壁面で反射します。建物と塀に挟まれた狭い空間に設置すると、音が反射して増幅されたように感じられ、特定の方向へ集中して伝わります。

同時に、吹き出した冷たい空気を再び吸い込む「ショートサーキット」が起き、沸き上げ効率も落ちます。騒音と電気代の両面で不利な配置です。

基礎の施工不良で振動が伝わっている

ブロックの上に置いただけ、水平が出ていない、アンカー固定が不十分といった据付けでは、圧縮機の振動が基礎から地面、さらに建物の構造へ伝わります。

この場合、空気を伝わる音(空気伝搬音)ではなく、固体を伝わる振動が問題の中心になるため、遮音壁を立てても効果が出ません。

近隣から苦情を受けたときの対応手順

対策の内容以上に、初動の対応が結果を左右します。

まず事実を確認し、誠実に応じる

最初にすべきは、いつ・どの部屋で・どのような音として感じられているかを具体的に聞き取ることです。深夜の特定の時間帯だけなのか、窓を閉めても聞こえるのかによって、原因の見立てが変わります。

「基準値以下だから問題ない」といった反論から入るのは避けてください。参照値は規制基準ではなく、感じ方には個人差があります。まずは事実確認と、対策を検討する姿勢を示すことが解決への近道です。

施工内容を確認する

据付が業界団体のガイドブックの考え方に沿っていたか、据付説明書どおりの施工だったかは重要な論点です。施工業者が事前に誤った説明をしていたり、据付説明書に記載された方法と異なる設置を行っていたりした場合には責任を問える可能性があるとされています。一方で、施主が特に希望して設置場所を決定していた場合は責任を問うことが難しくなるとも示されています。

設置を依頼した業者に、施工内容と改善の可否を確認しましょう。

相談できる窓口

当事者間で解決が難しい場合の相談先としては、お住まいの自治体の環境部局(騒音・低周波音の担当窓口)、消費者ホットライン188、住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)などがあります。

自治体によっては低周波音の測定に対応している場合があります。参照値はあくまで判断の目安ですが、客観的なデータがあると話し合いが進めやすくなります。

エコキュートの音に関するよくある質問

Q. エコキュートの運転音は何デシベルくらいですか?

カタログに記載されている運転音は、反響のない無響室で測定した数値です。実際に据え付けた状態では、周囲の騒音や壁面での反射の影響を受けるため、表示値どおりにはなりません。数値の比較は機種選定の参考にはなりますが、「カタログ値が小さいから近隣に影響しない」とは言い切れない点にご注意ください。設置場所の選定のほうが影響は大きくなります。

Q. 低周波音は防音壁で防げますか?

空気を伝わる音であれば一定の効果が期待できますが、低い周波数の音ほど遮音は難しくなります。また、振動が基礎から地面や建物へ伝わっている場合は、防音壁を立てても改善しません。まずは防振対策と設置場所の見直しを検討し、それでも残る空気伝搬音に対して遮音を組み合わせるのが現実的な順序です。いずれの場合も、吸込口・吹出口を塞がないことが前提です。

Q. 設置前に近隣トラブルを防ぐには何を確認すべきですか?

隣家の寝室・窓・床下通気口の位置を確認し、そこから距離を取れる設置場所を選ぶことが最も重要です。あわせて、壁や塀に囲まれて音が反射する配置になっていないか、吹出方向が隣家に向いていないかを確認してください。設置前に隣家へひと声かけておくことも、後のトラブル回避に有効です。

Q. 音が急に大きくなったのですが、これも設置場所の問題ですか?

急激な変化は機器側の不具合を示すサインで、設置場所の問題とは別に考える必要があります。ファンやコンプレッサーの劣化、部品の緩み、配管の接触などが疑われます。この場合は防振や遮音では解決しないため、修理業者へご相談ください。

まとめ

エコキュートの騒音問題は、機器の故障を示す「異音」とは切り分けて考える必要があります。運転音は主にヒートポンプユニットから発生し、深夜運転であることと、苦情の多くが20〜100Hz程度の低い音を主成分とすることから、近隣に届きやすい性質があります。環境省が示す参照値は規制基準ではなく苦情対応の目安であり、これを下回っていても影響がないとは言い切れません。

対策は、設置場所の見直しが最も効果的で、次いで防振、遮音、運転量の調整、機種交換の順に検討します。設置から年数が経過している場合は、交換と同時に配置を見直すのが合理的です。当店はエコキュート工事の専門店として、設置場所の選定を含めたご提案を行っています。お見積もり・お問い合わせよりお気軽にご相談ください。