エコキュート 断水時

地震や台風のあとに断水・停電が起きたとき、エコキュートのタンクに貯まったお湯や水は、大切な生活用水になります。ただし、断水時と停電時では使える機能が異なり、取り出し方を間違えるとやけどや故障の原因になります。本記事では、エコキュート交換工事専門店の視点から、断水時・停電時のそれぞれの使い方、非常用取水栓の手順、メーカー別の注意点、飲用の可否まで解説します。

断水時・停電時にエコキュートはどうなる?

エコキュートは、水道の圧力でタンクのお湯を押し出して給湯する仕組みです。そのため、断水と停電では使える範囲が大きく変わります。まずは状況ごとの違いを整理しましょう。

断水時は蛇口やシャワーからお湯が出ない

断水すると、タンクのお湯を押し出す水道の圧力がなくなるため、タンクにお湯が残っていても蛇口やシャワーからは出ません。浴槽への湯はりや追いだきもできなくなり、操作するとエラーが表示されることがあります。

ただし、タンク下部の「非常用取水栓」を使えば、タンク内のお湯や水を取り出せます。370Lのタンクなら、最大で約370Lの生活用水を確保できます。

停電時は断水していなければお湯が使える

停電しても、断水していなければ、タンクに貯まっているお湯は水道の圧力で押し出されるため、多くの機種で蛇口やシャワーからお湯を使えます。

ただし、停電中はリモコンが使えず、温度調節が働きません。高温のお湯がそのまま出ることがあるため、使い始めはやけどに注意し、水と混ぜて温度を確かめてから使いましょう。お湯を使い切ると水しか出なくなり、停電中は沸き上げもできません。

停電中、タンクのお湯はどれくらい温かさを保つ?

エコキュートの貯湯タンクは断熱材で覆われているため、停電で沸き上げが止まっても、お湯はすぐには冷めません。停電が1〜2日程度であれば、タンクに残ったお湯を入浴や洗い物に使えることが多いでしょう。

ただし、湯温の下がり方は外気温やタンクの残量、使った量によって変わります。停電が長引きそうなときは、シャワーを短くするなどして、お湯を大切に使いましょう。

断水と停電が同時に起きた場合

大きな災害では、断水と停電が同時に起こることがあります。この場合、蛇口からは何も出ないため、非常用取水栓からタンクの湯水を取り出して使います。取り出す前には必ず漏電遮断器を「切」にし、復旧時に誤って通電しないようにしておきます。

非常用取水栓からお湯・水を取り出す手順

非常用取水栓は、ほとんどのエコキュートに標準装備されています。いざというときに慌てないよう、基本的な手順を確認しておきましょう。

事前に用意しておくもの

  • バケツやポリタンク
  • 取水栓につなぐホース
  • 脚部カバーを外すためのドライバー
  • 懐中電灯(夜間の停電に備えて)
  • 厚手の手袋(高温のお湯に備えて)

取り出しの基本手順

メーカーや機種によって詳細は異なりますが、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 貯湯タンク本体の漏電遮断器を「切」にする(分電盤のエコキュート専用ブレーカーも切る)
  2. 貯湯タンクの給水配管の止水栓を閉める
  3. 脚部カバーを外し、非常用取水栓(または排水栓)の位置を確認する
  4. タンク上部の逃し弁のレバーを上げ、タンク内に空気を入れる
  5. 非常用取水栓を開け、バケツやホースで湯水を受ける
  6. 必要な量を取り出したら、取水栓と逃し弁を元に戻す

パナソニックは、本体の電源(漏電遮断器)を「切」にしてから、タンク下部の非常用取水栓から取り出すよう案内しています。取り出し方は、貯湯ユニット前面の注意ラベルと取扱説明書に記載されています。

出典:パナソニック「もしもの備え|はじめてのエコキュート」

取り出せる量と使う優先順位

370Lのタンクでも、実際に取り出せる量は、その時点の貯湯量や取水栓の位置によって変わります。すべてを一度に取り出す必要はなく、必要な分だけ少しずつ取り出すのが基本です。

限られた水を有効に使うには、優先順位を決めておくと安心です。一般的には、衛生を保つためのトイレ、手洗い・体を拭く水、洗い物の順に考えるとよいでしょう。取り出した湯水はふたつきの容器で保管し、ほこりや虫が入らないようにします。

高温のお湯に注意する

タンクの上部には、80℃前後の高温のお湯が貯まっていることがあります。取り出したお湯は想像以上に熱いため、直接手で触れず、容器に受けてから水で冷ましたり、時間をおいたりして使いましょう。小さなお子さまが近づかないよう注意してください。

メーカー別の断水時・停電時の違い

断水時・停電時の基本的な考え方はメーカー共通ですが、給湯方式によって大きく異なる点があります。とくに日立の水道直圧給湯モデルは、ほかのメーカーと扱いが違うため注意が必要です。

給湯方式・メーカー 停電時(断水なし) 断水時 非常用取水栓
減圧弁方式(パナソニック、三菱、ダイキン、コロナ、長府など多くの機種) 蛇口からお湯が出る(温度調節不可) 蛇口からは出ない あり
日立の水道直圧給湯モデル(ナイアガラ出湯など) 蛇口からは水のみ(お湯は出ない) 蛇口からは出ない あり
集合住宅などポンプで給水している建物 停電でポンプが止まると出ない場合がある 蛇口からは出ない あり

※機種によって異なる場合があります。必ずお使いの機種の取扱説明書で確認してください。

取扱説明書で確認しておきたいポイント

同じメーカーでも、機種や製造年によって非常用取水栓の位置や、逃し弁の操作方法が異なります。いざというときに慌てないよう、取扱説明書の「非常時の使い方」「停電・断水時」のページに付箋を貼っておくと便利です。

とくに確認しておきたいのは、非常用取水栓の位置、脚部カバーの外し方、逃し弁の場所、復旧時の満水の手順の4点です。取扱説明書を紛失している場合は、メーカーの公式サイトから型番で検索すると、多くの機種で電子版を閲覧できます。

日立の水道直圧給湯モデルは停電時にお湯が出ない

日立の水道直圧給湯モデルは、タンクのお湯で水道水を瞬間的に温めて給湯する仕組みのため、停電中は蛇口やシャワーから水しか出ません。停電時にお湯を使う場合は、他社と同じく非常用取水栓からタンクのお湯を取り出します。

ポンプで給水している建物の注意点

マンションや、井戸水をポンプでくみ上げている住宅など、ポンプで給水している場合は、停電でポンプが止まると水道の圧力がなくなり、断水と同じ状態になります。この場合も、非常用取水栓からの取り出しが必要です。

タンクの湯水は飲める?生活用水としての使い方

災害時にもっとも気になるのが、「タンクの水を飲んでもよいか」という点です。ここでは飲用の可否と、生活用水としての具体的な使い方を解説します。

飲料水は別に備蓄しておく

エコキュートのタンクは生活用水の確保には役立ちますが、飲み水の備えにはなりません。飲料水は、1人1日3リットルを目安に、最低3日分、できれば1週間分をペットボトルなどで備蓄しておくことが推奨されています。

生活用水はエコキュート、飲料水は備蓄水と役割を分けて考えておくと、断水が長引いたときも落ち着いて対応できます。

飲用は避ける

パナソニックは、非常用取水栓から取り出した湯水の飲用は避けるよう案内しています。タンク内の湯水は長時間貯まっているため、タンクの底には水道水に含まれる成分などが沈殿していることがあります。煮沸したとしても、飲み水としての使用はおすすめできません。飲料水は、ペットボトルの水などで別に備蓄しておきましょう。

生活用水としての使い道

タンクの湯水は、飲用以外の生活用水として役立ちます。

  • トイレを流す水(バケツで便器に流し込む)
  • 体を拭く、髪を洗うなどの身だしなみ
  • 食器や衣類の洗い物
  • 掃除

370Lのタンクなら、トイレを流すのに1回あたり数リットル〜10リットル程度使うとしても、数十回分の水を確保できます。

復旧後の手順と日頃の備え

断水や停電が解消したあとは、正しい手順で復旧させないと故障の原因になります。あわせて、日頃からできる備えも確認しておきましょう。

断水・停電が復旧したときの手順

非常用取水栓でタンクの湯水を取り出した場合は、タンクが空の状態です。そのまま通電すると、空の状態で運転してしまい故障の原因になります。

  1. 台所などの蛇口から水を出し、水道の濁りや空気が抜けたことを確認する
  2. 非常用取水栓・逃し弁が閉じていることを確認する
  3. 給水配管の止水栓を開け、タンクを満水にする(お湯側の蛇口から水が出れば満水の目安)
  4. 漏電遮断器・ブレーカーを「入」にする
  5. リモコンの時刻や設定を確認し、必要に応じて沸き増しを行う

手順は機種によって異なるため、必ず取扱説明書に従ってください。

日頃からできる備え

  • 取扱説明書を、すぐ取り出せる場所に保管しておく
  • 非常用取水栓の位置と、脚部カバーの外し方を一度確認しておく
  • ホース、バケツ、ドライバーをエコキュートの近くにまとめておく
  • 台風の接近が予想される日は、満タンまで沸き上げておく

災害に強い機種を選ぶという備え

これからエコキュートを交換するなら、災害への備えを機種選びの基準に加えるのも一つの方法です。メーカーによっては、気象警報と連動して自動で沸き増しを行い、タンクを満タンにしておく機能や、耐震性を高めた貯湯ユニットを用意しています。

太陽光発電と蓄電池がある住宅では、停電中も蓄電池の電気でエコキュートを動かせる場合があります。対応できるかどうかは機器の組み合わせによるため、交換の際にご相談ください。

エコキュートの断水時・停電時に関するよくある質問

Q1. 断水の予定があるときは、事前に何をすればいいですか?

工事などで断水の予定が分かっている場合は、断水の開始前にリモコンの運転を停止し、断水中はお湯を使わないようにします。断水中に給湯すると、配管に空気が入ってトラブルの原因になります。断水の解消後は、蛇口から水を出して空気や濁りを抜いてから運転を再開しましょう。

Q2. 停電中でもお風呂に入れますか?

断水していなければ、多くの機種でタンクに貯まったお湯をシャワーや蛇口から使えます。ただし、リモコンが使えないため自動湯はりや追いだきはできず、温度調節もできません。高温のお湯が出ることがあるため、水と混ぜて温度を確認してから使いましょう。日立の水道直圧給湯モデルでは、蛇口からお湯は出ません。

Q3. 非常用取水栓からお湯が出てこないのはなぜですか?

タンク上部の逃し弁のレバーを上げていないと、タンク内に空気が入らず、湯水がスムーズに出てこないことがあります。また、給水配管の止水栓の状態によっても出方が変わります。取扱説明書の手順を確認し、それでも出ない場合は無理に部品を外さず、メーカーの窓口に相談しましょう。

Q4. 災害でエコキュートが壊れた場合はどうすればいいですか?

まずは漏電遮断器を「切」にし、安全を確保してください。修理のご依頼は、メーカーのサービス窓口にご連絡ください。台風や落雷などが原因の場合は、火災保険の対象になることもあるため、加入している保険会社にも確認しましょう。

まとめ

エコキュートは、停電時でも断水していなければタンクのお湯を使え、断水時も非常用取水栓からタンクの湯水を生活用水として取り出せます。ただし、日立の水道直圧給湯モデルは停電時に蛇口からお湯が出ないなど、機種による違いがあり、タンクの湯水は飲用に適しません。災害に強い機種への交換を検討している方は、お気軽にお見積もり・お問い合わせください。